空想は人々に希望を与える

僕の絵は女性ファッション誌の完璧なまでに美しいモデルさんから大きな影響を受けています。紙面を彩るあの美しい雰囲気は見ているだけでワクワクしますし、何時間でも眺めていられるほどです。その美しさに魅了されてから10年以上になりますが、僕の完璧主義者としての追求心がそれを引き寄せているのでしょう。人間の追求心は限りを知らず、時に空想をも実現しようと躍起になるものです。


空想と言えば漫画やTVゲーム、恐竜などの未知なる存在が代表ですね。僕が生まれた時には既に漫画やTVゲームがあり、物心つく前から触れてきているので“マンガネイティブ・ゲームネイティブの世代”と言えます。それらの空想世界の影響で、現実世界には無いものに幼少の頃から強く憧れるようになりました。また、それと同時に空想というものがこの世では起こりえないことに気がつき、現実に絶望しました。


そういった経験からか、現実よりも頭の中で空想を思い描くことが楽しくなり、現実には無い“何か”を常に求めるようになりました。「それだったらもう、空想を追求しよう」と。その空想とはつまり自分の理想であり、「こう在りたい」という理想は、退屈な現実での生活をより良いものに変えるためのモチベーションになりました。要するに僕にとっては“空想=理想”で、その理想はワクワクする現実を実現するための “希望”なのです。

同様に、ファッション誌の紙面の中でも空想の世界が広がっています。ある意味“嘘の世界”とも言えるでしょう。現実離れしたあの世界観は人工的に全てが作り込まれています。撮影スタジオにおける、プロフェッショナルなヘアメイクやスタイリングを施されたプロモデルのポージング。その被写体をより良く見せるためのライティングや撮影機器に、撮影後の写真のレタッチなどなど…これでもかというくらいに美を追求してい ます。


それではなぜそれほどまでに美しく仕上げるのでしょうか。それは完璧な美を呈示することで読者に希望を与えるためです。完璧な美は女性の理想であり、そのために日々お手入れや自分磨きをしています。太古より男性は髪や肌などから女性の健康状態を判断し、より生存率の高い相手をパートナーに選んできました。

女性は長い時間をかけてそういった男性の性質情報をDNAに刻みこみ、より美しくなることで生き残ろうとしてきました。なので大げさに言えば女性が誰のためでもなく美しさを求めるのは生存本能なのです。つまり、女性にとって空想レベルに至るほどの美であっても、それは現実をワクワクさせるための“希望”であると言えますね。

これらの観点から女性ファッション誌における“現実にはありえないであろう完璧な美しさ”に物凄く惹き込まれますし、空想・理想の追求という概念にも心から共感しています。その世界観はただ美しいだけではなく、僕の憧れる「空想」で満ち溢れているのです。