非効率なアートは高カロリー

シャープペンシルを使って絵画制作をしていますが、特にきっかけがあった訳でもなく、簡単に言えば学生の頃からノートに描いていた落書きの延長として馴染みのある道具を選びました。ただ、制作を続けていく中で自分でも意識していなかったシャーペンにこだわる理由に気がつきました。


そもそもシャーペンはその細さから絵画制作においてかなり非効率です。普通は筆記用具として扱うものなので機能面からしても絵画の道具として妥当ではないことは明らかです。同じ黒鉛の鉛筆と比べても、ねかせて広い面を描ける分、鉛筆の方が効率的でしょう。それでもシャーペンを使い続けるのは僕が“負けず嫌いでバカな性格”だからです。

僕は昔から自分ルールを自分に課すことをしてきました。と言ってもそんなにシビアなことではなく、例えば学校からの帰り道に道路の白線からはみ出さずに歩いて家まで帰るという、多くの人が経験したであろうことです。

僕の事例で言えば、お腹が空いてるけどこれを描き終わるまでは食事にしない、とか、冬の雨の中で傘をさしながらいかに立ち止まらずに片手でマフラーを巻き切るか、といった具合です。その自らのルールに違反することは許されないことで、遂行できなかったら“負け”なのです。


そうですね、いわゆる“バカ”なんだと思います。「バカみたい」は僕にとっては褒め言葉で す。どうしても効率など度外視で負けたくない気持ちが最優先になってしまうようです。しかし僕はそんな非効率的だったり無益なことを本気でやることにこそ驚きや面白みがあると思っています。

非効率的なことを本気でやるにはかなりの情熱が無いとできませんし、非効率ゆえに多くの時間を必要とするでしょう。そうなるとそこで発生する熱量は相当大きなものになるし、そうやって表現されたものはとても高いカロリーがあると言えます。

シャーペンアートも例外ではなく高カロリーの作品です。制作方法もシャーペンで描いた部分をティッシュで擦り、その上からさらに描いて、また擦って陰影をつけていく…といったかなり面倒くさいことをしています。

非効率的な方法で大まじめに制作された作品は、見る側もその熱量を感じ取ることができて心を満腹にさせます。それこそが精神の豊穣に繋がりますし、絵画の役割のひとつであると思います。僕自身も昔から熱量のある作品を鑑賞するのが好きだったので、同様に高カロリーなシャーペン アートも制作していてとても楽しいものです。